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(2002年6月10日掲載)
上潮の中国の追い上げを考えると、我々は、もはや「安い人」で残ることは難しくなっている。好むと好まざるとにかかわらず、私達は、イノベーションをする人材になるしかない。イノベーションする人とは、私の言葉でいえば、「稼ぐ人=タレント人材=ブランド人材」である。私が最近繰り返している提案は、稼ぐ人になるためには、とにかく自分がはまるやりたいことをやって、「やりたいことエネルギー」を使って人一倍努力し、タレントやブランドを創っていこうというものだ。その際、ひとつ大切なことがある。何か新しい職についたときに、普通の人(安い人、余る人)は、必ず、先輩のマネをする。そこから悲劇がはじまる。悲劇NO1は、だめな先輩を選んでだめな仕事のやり方を身に付ける悲劇だ。でもこれはまだ初歩的な悲劇で、ちょっと注意すれば防げる。悲劇NO2は、できる先輩を選んだ場合に発生する。できる先輩をターゲットに選んで真似すると、10中8,9その先輩の7,8割のレベルにしか到達できない。その先輩ができればできるほど、到達度合いは、7、8割はおろか5割、6割にまで下がっていく。なぜか?できる先輩は、時間をかけて自分の技を磨きぬいている。しかも、その先輩だからこそ成果をだせるような仕方をつくりこんでいる。そのプロセスで、さまざまな無駄を捨てていっている。そして彼女にテーラーメイド-された勝つ技をつくりあげているのだ。だから完成品だけみて、いいと思っても、それは彼女が使うから成果が出る技なのだ。あなたがいくらそれを真似しても、決して彼女をぬくことはできない。あなたにはだぼだぼな技なのである。どうするか。それは、いい先輩をターゲットにして、マネを始めると同時に、最初から、同時に、自分のユニークさも磨いていくことだ。そして、先輩のマネの部分と自分のユニークさをセットにして、先輩をまねしつつも、少しでもオリジナリティをだしていくことだ。そうすると、その先輩から「ここ違う」とかいって削られる。この削られる部分があることが大切だ。始めのうち、それは先輩流の技と不協和音をおこす。でもそこでふんばって、マネの精度もたかめ、あなたのユニークさもたかめ、統合の仕方がわかってくると、ある日、「すごいね」といわれることになる。きっと先輩からじゃなくて、お客様から。 |
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