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少し前に米国で即興劇の練習に参加した。即興の練習で二人組みになり、私はパートナーから「夕食をなににする?」といわれた。パートナーが結構美形だったこともあって、素人の私は、「キャメルってなんてユニークでクリエイティブなの」といってもらいたいから、すぐに「クリエイティブでオリジナルな変わったことを思いついて驚かしてやろう」と考えた。結局苦し紛れで「人魚の唐揚げはどう」などといってしまった。練習の後、女性インストラクターから次のような説明があった。「即興では、はじめにうかんだ素直なアイデアをそのままいうことが大事です。もし、「夕食は魚がいい」と思ったら迷わずに、即、「魚」といえばいいのです。魚じゃあまりにつまらない、即興だから面白いこといわなきゃ、というのが即興をさまたげる囚われです。」さらに、「何をいうかは、実はさしたる問題ではありません。即、思いついたことを素直に出すのが重要なのです。」彼女は続けて、「考えてしまうと通常の思考回路に逆戻りしてしまいます。即興の達人は、その場で自分が思いついたことをいうので、自分がいったことに自分でも驚くのですよ」
私は、この「自分を驚かす技」に魅せられて家で早速実験。考えないで、自分を驚かすような原稿を書こうとした。だがいっこうに「自分で驚く」ようなものは出てこない。焦るばかり‥。「面白いことをいうために即興を使ってはいけない。それは余計な計らいです」というインストラクターの教えを思い出した。 |
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