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米国にいたころ、「即興劇」の先生のライアンからこんな話をきいた。二人の人間がやりとりすると、必ず、無意識のうちに、片方が高い地位をしめ、相手は低い地位にされる。ライアンはこれを見事に応用し実践した。彼女は給与の値上げをねらって上司のジョージに面談を求めた。ジョージは普段は強面の難敵。面談のあいだ中、ラインは即興劇のスキルを応用して首から上を微動だにしなかった。首から上を動かさず、相手の目をずっと見続けることが、相手に対して高い地位を保つ秘訣なのだ。ジョージは相手からこんな態度をとられたことがないので、面談がはじまって1分もしないうちにそわそわしだした。5分くらいでライアンの要求はすべて通った。おまけに、面談をおえたジョージは真っ青な顔で「今日は気分が悪い」といって早退した。翌日も病欠。即興ドラマのプロのライアンもこんなに効くとは思わなかったという。反対に、自分の方が低い地位をしめ、相手に高い地位を与える技もある。ひたすら相手のいうことにうなづきながら、相手のいうことを聞く、という技だ。これは、無意識のレベルで相手への尊敬のメッセージをおくることになるらしい。さて、あなたの職場で、誰かと誰かが会話しているのを観察して、どっちの「地位」が高くなっているか観察すると面白い。長身で美人のメリーがぐっと胸を張ったポーズで、椅子にすわっている上司のボブを見下して、「地位」が逆転しているなんて例にお目にかかるかもしれない。 |
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