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コンサルティングの仕事の中で、人材の品質を見極めるための評価(アセスメント)をよく行う。一人あたり、1、2時間かけて、「あなたが過去1~2年であげた成果は何か」「その成果をどういうプロセスで生み出していったのか」「あなたが自分で考えたことや行動したことは何か」と聞いていく。普通のインタビューに比べて、根堀り葉堀り、徹底的にきく。その人が、どういう場面でどう考え行動したのかを語ってもらうわけだ。その人が主人公の映画を見せてもらう感じである。「稼ぐ人」は自分が主人公になりきった名優だ。社内でのポジションは関係ない。主役の主任が、部長や社長を動かすこともある。名優の場合、仕事の話で一を語ると十がみえる。例えば仕事の話を超えてその人の人生がみえてきたり、個人を超えて事業部や会社の全体像がみえてくる。さらに名優が運に恵まれ、運を生かしている様子もわかる。残念ながら名優は少ない。多くの人は、名優どころか主役になりきれていない。主語が自分でなく、他人だったり組織だったりする。だから私から何度も、「あなたはどういう役割を果たしたのですか?」としつこくきかれるはめに陥る。幸い、この質問がくりかえされるうちに、自分が主役になっていないことに気づく人もいる。そう気づくと、その後の仕事で「主役になっているか」と自問自答できるようになる。主役の意識が芽生えればしめたもの。気まぐれな運の女神も主役の演技ならそっと助けてくれるかもしれない。 |
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