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(掲載日2002年5月12日)
米国は、この2年間、バブル崩壊、同時多発テロ、エンロン倒産といった大事件にみまわれた。にもかかわらず、米国で活躍する人達は元気でたくましい。縮みこみがちの日本の人達と対照的だ。何がこの差を生み出しているのか?私は、米国の人達の「したたかさ」にその秘密があると思う。
例えばあなたが左遷されたとしよう。したたかさを「もたない」人だと、状況に流され自分を見失って「おれはだめだ。世の中、不景気だしこの先いいことない」と沈み込む。あるいは逆に意固地になって「おれは一流企業の課長だ、くさってもタイだ」と開き直り、左遷先の可能性には関心を払わず、一流企業の大課長としてふるまい続け不興を買う。「状況」も「自分」も変えることもできない「箱(=企業)入り」息子を演じ続ける。
私の友人のしたたかなジュリアなら、「左遷先=人の関心がない=自分が腕をふるうチャンス」と考える。左遷先のデータを調べながら、こうやれば変えられるはずだと仮説をたて、自分がいる3年の内に、ここまでもっていきたいと夢を描く。そして、自分でできることからどんどんやってみる。失敗しても左遷先だから大丈夫。どんどん実験してそのうち何かほんとうにできるかもしれない。できなくても、自分の実力は高められる。3年後には、その実績をもとに、次の成長をねらって別のところに移っていく。
したたかさの本質はシンプルだ。「状況」と「自分」を変える「柔軟性」と、自分のやりたいことをやっていく「しつこさ」である。「箱」にはいっていても、視点は常に「箱」を「越え」ていて、虎視眈々と何かを狙い、仕掛け続ける。 |
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