|
シリコンバレーであった人の中で、最も印象に残っているのがランディ・コミサだ。
● やりたいことを後回しにするか先にするか:
やりそこないのリスクを回避しよう
(夕刊フジ掲載:2001年11月15日:微調整前の文)
ワシントンポスト紙は、コミサを「シリコンバレーのメンター(起業家を育てる先生)」と評した。彼がかいた「僧侶と公案the
monk and the riddle」は、起業家の卵の新しい必読書とされている。今年2月、スタンフォードの公開セミナーで彼は話をしたが、そのいでたちが印象的で一度みたら忘れ難い。スキンヘアで、バイク用ジーンズ、皮ジャンパー、カーボーイブーツで、やさしく力強い笑いが絶えない。この間、私が、山の麓の某カフェにいると、面識もない私のところに、コミサが近寄ってきて「それはどこのコンピュータか?」とたずねた。新種の機械をみるとすぐ近寄るシリコンバレー人を引き寄せる道具として、私は銀色・小型ノートパソコン(テリオス)を愛用しているのだが、彼もひっかかってきた。私はすかさず「2001年2月16日、コミサ・スピーチ」というファイルをあけて彼を驚かせて、「今度コーヒーのみながら、私の「子供教育ベンチャー」の話をきいてくれ」と頼んでみた。即OK。コミサはほとんど毎日のように、このカフェで、起業家達の相談にのっているらしい(ときには、はっと目を惹く美人も相談に来ている)。
さて、彼は、「世の中には二つの生き方があって、どちらを選ぶかが起業する上でも重要だ」という。一つは、「やりたいこと後まわし人生」。まず「もうかること」をやって、「やりたいこと」は引退後にでもとっておく。実際、ドットコムバブルのときにはそういう起業家も多かった。結局、お金ももうからず、やりたいこともできずに散っていった。もう一つの生き方は「やりたいこと優先人生」で、明日死んでも「自分はやりたいことをやってきた」といえるような生き方だ。
コミサは、「優先人生」をすすめる。理由は簡単。もうかるかどうかはコントロールできないが、やりたいことをするかどうかはコントロールできるからだ。こントロールできない金銭的なリスクよりも、コントロールできる「やりたいことのやりそこない」リスクを回避した方がいいというわけだ。しかし、彼は非常に現実的もである。例えば、私が相談した「10台向け教育事業」については、数日後にメールで、「夢には共感するけれど、まず小さく自分で確実にできるところから始めた方がいいよ」と暖かい釘をさしてくれた。
(その後、私は、カフェやパブで何度か、コミサのスマイルパワーをもらった) |
|
|