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● 失業を抜け出した女性：
思いを遂げるまでもくもくと努力。志のパワーをみた
（夕刊フジ２００１年１１月１日掲載：やや長め）
シリコンバレーは空前の不況である。私の友人のクリスティーンの失業、就職劇を紹介したい。彼女は、バークレイのエンジニアリングを出て、東大で国際関係論の修士の学位をとって、さらにウオートンスクールでＭＢＡもとった才女。20年前からシリコンバレーにきて、ハイテク企業で技術マーケティングや、教育分野と関係したベンチャーに携わった。日本企業にも一時籍をおいた。私は、日本で10台の人材開発事業を考えている関係である人から彼女を紹介してもらった。彼女は、一昨年から、彼女の両親の具合が悪かったこともありそれまで勤めていたベンチャーでの激務を離れて自営のコンサルティングをやっていた。結構、ネット上で株の売買もやって稼いでいたらしい。両親の問題も片付いて、昨年初めから本格的に次の仕事を探し出した。昨年暮は、シリコンバレーの通信関連大手が、日本企業とのＭ＆Ａの部門をつくり人員を募集していたので、彼女も応募した。私は、何度が、近所のスターバックで、ジョブインタビューの練習につきあった。本番のインタビューのできは上々で、クリスマスの頃内定をもらった。別の会社からも内定をもらっていて、どっちにしようかなと相談を受けていた。ところが、その後こちらの経済状況は悪化し続け、彼女の内定は二つとも取り消された。私がこっちにきた当初は、彼女の方に余裕があって、よく日本料理で高い寿司など食べておごってもらったが、最近は、彼女の株の運用も最低で、スターバックでケーキをつつくのがご馳走という状況になっていた。内定が取り消された後はさすがにショックだったらしく、どんどん条件を落としていった。しかしその甲斐もなく、決まりそうになると、そこがまたリストラをやって取り消しというのが続いた。ついに彼女は、腹をくくって、自分がほんとうにやりたいことは何か、どういうところで働きたいか一枚の紙に書きだしたそうだ。日本に関係したハイテク企業でリサーチ・コンサルをやる、しかも職場はシリコンバレー的で、女性がのびのびと活躍できるところ、というものだ。そして、改めて、ネット上のサーチ機関に登録した。いくつかの候補企業とインタビューになって、真っ先に自分の理想とする条件を出した。そうしたら、運良くそれにぴったりのところが出てきた。9月の末、彼女は、晴れてその企業に就職した。最近は、よほど仕事が面白いらしく、私と食事の約束をしても、その日の夕方になると「悪いけど、キャンセルしていい」という電話が決まってかかってくる。「志」のパワーを説く私は「これでいいんだ」と強がりをいいながら仕方なく家族と食事をしている。
（その後、せっかくはいったハイテク企業は日本の本社のリストラの影響もあり、シリコンバレーでもリストラされて、クリスティーンはまた失業の身となった） |
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