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上海の風:第八回
  米国の官民一体対中政策  (2004年10月22日)

10月21日、US China Business Council というところに依頼されて、中国における人材マネジメントについてスピーチをした。この組織は、おそらく日本のジェトロみたいなところで、中国において米国政府と米国企業が意見交換して、対策を考えていくような場である。なぜ私がよばれたかというと、私のことを知っていたということではまったくなくて、単に、私が所属するワトソンワイアットが米国企業で、しかも、ワトソンワイアットの中国のトップがこのあいだまで米国人であったから、彼が人事・組織関係のことがあると話をするように頼まれていたからだ。その米国人トップを、この夏に台湾の中国人にすげかえたので、私が急遽、かわりを引き受けるはめになった。
当日いってみると、上海でも人気がたかい、ワイタン(外灘、Bund)にある、ウエスティンホテルの3階で、在中国の米国企業のトップクラスに人が、300人くらいきていた。2つの点で、この集まりは興味深かった。
一つは、会議のやりかたが、シリコンバレーや、私が所属するワイアットのグローバルな会議と同様に、連続的パネル方式をつかっていたことだ。これは、1日の会議で、5つとか6つくらいテーマをきめ、各テーマ毎に、専門の人を2,3人よんで、それぞれの人が5分から20分くらいプレゼをして、そのあとすぐにパネルにうつり、Q&Aをするというやりかただ。深くは議論できないが、誰が面白いか、誰の考えをもっときいてみたいかがよくわかるので、情報交換のやりかたをしてすぐれている。だいたい、これがおわると、カクテルみたいなことをやって、大量に名刺を交換して、仲良しをつくることにはげむことになる。
2つめは、内容的に、米国企業や、米国企業をサポートする米国政府(大使館、商務省)がいま、何を考えているかがわかったことだ。
連続パネル形式のその日の会議で、第一のパネルは人材問題であった。その部分を、私とGEの人がペアで担当した。私は、中国のビジネスではどうやって人を確保するかが鍵で、そのために何をすればいいか、について話した。普段、1時間話す内容を、15分でやってくれといわれ、パワーポイント20枚くらいを、すっとばしながら、話した。何度もこういうのは、やっているから緊張することはないのだが、事前の時間がなかったから、いい圧縮ができていなくて、ただひたすら早口で話すこととなり、自分ではまったく面白くなかった。あらかじめ打ち合わせていたわけではないが、私に続いてGEの人は、「どうやって、人をクビにするか」をはなした。GEというとエネルギッシュな人ばかり、わたしはあってきたが、はじめて、老賢人みたいな人にあった。かれは、非常に静かに、人をクビにする場合の法的なリスクのことばかりはなす。中国におけるGEの実例をまじえながら。私と同じ15分なのに、彼のスピーチはおちついていて、ゆったりしていて妙に説得力があった。米国みたいなやりかたをすると、人をやめさせるということが中国でもでてきて、それが問題に直面しているというのも興味深かった。
人材問題パネルに続いて、これまた中国でのホットイシューのシェアドサービス(アウトソーシング)の話を2人の人がした。インドその他と比べて、中国がいかにこの面ですぐれているかを強調していた。その次がおそらくこの日の目玉で、北京から、わざわざ駐中国米国大使がきて、原稿をみずに、すわったまま、IPR(知的所有権)の問題についてかたりはじめた。大柄でいかにも社交的な外交官みたいな人だった。知的所有権の問題について、米国がいかに苦労しているかがよくわかった。また、会議にきていた300人くらいの企業の代表に、実例をおしえてほしいと、意見を求めていた。秋には、パウエル国務長官がきて、12月にはエバンズ商務長官もくる予定で、そのときも知的所有権はひとつ、大きなテーマになる、大統領選挙がおわればすべてがかわるみたいに中国の役人がおもっているが、そんなことはない、一貫した政策を貫く、と結んだ。なかでも、印象深かったのは、中国の中でも、ベンチャー起業家などの間から、守るべき知的所有権をもった人々があらわれてきたので、そういうところに、米国の大使もみずからでかけていって、一緒に、作戦を練っているという話だ。また、米国本国の役所のどのレベルが中国にしかけると、中国の役所の中の縄張り争いにまきこまれないみたいなことまで考えて、仕掛けているという話も面白かった。外交官も捨てたものではない。



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