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上海の風:第四回
  上海への誘い  (2004年8月4日)

最近、上海を特集したある日本の雑誌のインタビューで、「上海にむけた誘い」みたいなことを話してくれてといわれて、私はこんなことをお話した。
ひとことで言うと「いろいろある」−−これが現在の上海です。日本のように成熟した市場では、時に応じて「売れ筋」の人材が決まっていきます。一方、急速な成長のただなかにあり、かつ外国企業も多く参入、人材のグローバル化が進んでいる中国では、一概にこの資格があったらとか、こんなスキルが必要、とは言いきれません。こうなると、求められる人材は多種多様。その意味でだれにでもチャンスがあるのが現在の中国なのです。上海在住の日本人3万人(実際は6万人ともいわれる)は、その尖兵になっています。
  私自身、本格的に中国経済と向き合うようになってまだ1年足らずですが、この1年で中国に対する考え方が大きく変わりました。まず第一に驚いたのは変化のスピード、そして日本経済との密接なつながりです。よく中国ブームと言われますが、これは一過性のものではなく、かなり長期にわたって続くものかなと思い始めています。
  最初のころ、多くの日本企業は中国を生産基地と見なしていました。しかし、現在では中国市場そのものがターゲットになっています。そのなかで日本企業は地元や欧米の企業としのぎを削っている。ひと昔前なら一部の中国通の社員に任せていた企業が、今やエース級の社員を投入している。東京の本社で経営戦略を練るときも中国での事業を考えないわけにはいかない。いつの間にか、東京と上海はつながってしまった。上海の風にあおられた私は、すべてを上海からみはじめていて、ペイチン(北京)とトンチン(東京)とナンチン(南京)がある、とみえはじめた。
実際に、これまでの海外拠点では考えられないようなスピードで、人の流れが日本と中国を結び付け始めた。大手メーカーが中国に進出することによって、その下請けも出て行く。銀行も出て行くし、サービス業も出て行く。戦前の租界に似て、ありとあらゆる日本人が中国に渡る。今まで海外出張など一度も経験したことのない下請け工場のおじさんが中国で働く。望んでいないのに、市場競争のなかでは行かざるを得ない。そういう時代を迎えているのです。
どうせまきこまれるなら、自分から飛び込んでみようじゃないか、というのが私のささやかな提案です。そのほうがよほど身につくものが多いはずです。もちろん、外国ですからリスクも大きい。しかし、成長する経済には日本にはないチャンスがある。良くも悪くも「自分を変えたい」と思っている人には中国は最適の場所でしょう。
  実際、ひとつの事業が新たな事業を呼び、思わぬ成功を生む。こうした日本企業や日本人起業家は少なくありません。そのなかでウリになるのは、意外にも日本人らしさかもしれません。よく言われるように、日本人は段階を踏んで物事を積み上げていくのが得意です。また、接客の細やかさも、異常なレベルに達しています。これは中国市場でも必ず役に立ちます。
  そういった、日本人にとっては当たり前でも、中国などの海外でひょっとしたら競争力をもつかもしれない技をいかすには、コミュニケーション能力が必要です。日本人としての強みやよさも、相手に伝わらない限り、意味がありません。そのためには、言葉はもちろん話せたほうがいいです。ただ、あまり堅苦しく考えずに、はなせるところからはなしていくような気軽な「中国語」でいいと思います。ちょっとできれば、もう少しできるようになって、もう少しできれば、結構できるようになって、そのうちかなりできるようになるはずです。前回のメルマガにもかきましたが、語学を上達するためのインセンティブがいまの中国にはいっぱいあります。ほんの片言でも中国語が話せると、入ってくる情報の量が変わります。
  自分で情報をとれるようになることが、巨大で複雑な国、中国においては何より必要でしょう。専門家のいうことをきいてもろくなことはありません。自分の強みや自分の特徴にあわせた情報を、自分でとって自分で分析して咀嚼する以外にないのです。そのなかで自分になにができるかを見極め、仮説を立て、修正しながら実践してキャリアを積み重ねていく。どんな分野でも中国に強い人材になることが、そのままキャリアにつながるはずです。


<カコミ>
中国でキャリアを築くポイント
●現地の仲間=圏子を持つ
  中国では企業間の付き合い以上に個人のつながりが大切。中国で言う圏子(quanz)=仲間を持つことでビジネスチャンスは広がる。
●時間のセンスを他人と変える
  中国市場を短期ではなく長期で見ること。同じ失敗でも短期の場合は大損害になるが、長期なら学習になる。
●グローバル競争に身を置く
  中国では地元企業や欧米企業が競争相手。常に比較されることで企業も個人も競争力が身につく。日本にはない刺激を受けることで成長できる。
●中国語は片言でも役立つ
  現地の言葉を知っているのと知らないのとでは大違い。日本人には漢字というアドバンテージがある。ほんの少しでも中国語を勉強すべきだ。



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