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昨年末、寺嶋さんと会ったとき、「独立します」という話をきいて、少し驚いた。シンクロキャリアが誕生した。おめでとうございます。
私が「上海の風」をかきだしたのは、寺嶋さんとの個人的な関係によるのだから、彼が新しいことを始めても、それ(上海の風)を続けることはごく自然なことだと思って、続けさせてもらうことにした。
さて、そういう門出をいわって、何か縁起のいいことでもかこうかなと思ったが、たまたま、最近、縁起でもない話をきいてしまったので、今日は、その縁起でもないほうの話をしたい。いや、シンクロナイズとその顧客の方々が今後ますます発展するために、むしろ辛い話こそ門出にふさわしいかもしれない。
私は、ここ数年、グローバル経営における人材マネジメントにずっと関心をもっている。グローバル経営では、リスク管理の問題が、きわめて重要な問題となる。しかし、この点について日本企業は、欧米企業と比べかなり遅れている。日本人の駐在員を大量に海外に派遣し、彼らを通じた属人的なリスク管理を行うことには限界がある。また、あとでのべるようにローカル化をすすめることも必要だから、その際、リスク管理を仕組み化しておくことが絶対不可欠である。
筆者がくらす中国では、リスク管理で痛い目にあっている日本企業が驚くほど多い。よくあるのは、日本で雇用した日本語ができる中国人を、中国に送り込み、営業その他たちあげさせて、順調にいっているようにみえたが、彼が、着服その他、会社を私物化している例である。お金だけですめばまだしも、ブランドに影響しかねない。
米国の企業だと、現地化しても、お金や業務についての監査を、グローバルな仕組みとして行っているところも多い。問題が発生したときのみでなく、年中行事として、現地のおペレーションと利害関係のない第三者(グローバル社員やリージョナル社員)が、いろいろな名目で、やってきては、トップのみならず、末端の社員にまで聞き取り調査をやる。名目は、品質の向上とかだったりすることもあるが、要するに、業務監査を行っている。ローカル社員を信頼することは重要だが、信頼にたるものかどうかは常にチェックしておくことが必要だ。
信頼を大切にしつつも、信頼性をチェックするようなしたたかさが必要である。 |
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