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  夕刊フジ
■No.1 テロ
■No.2 家族
■No.3 お金
■No.4 炭素菌新
■No.5 失業の女
■No.6 ストックパワー
■No.7 コミサ
■No.8 即興
■No.9 ドライバー
■No.10 西村
■No.11 キッシンジャ
■No.12 エレベーター
■No.13 即興劇
■No.14 怒り
■No.15 散歩
■No.16 パワー
■No.17 飛び級
■No.18 NLP
■No.19 失敗
■No.20 ベッキ2
■No.21 フィードバック
■No.22 ゴキブリ


 
夕刊フジ  【3】 お金
●  お金・生活・仕事のバランスを考え直す:
         楽しく、たくましく変身する人たち

(夕刊フジ 2001年10月18日掲載。掲載文より数行長め。)
リセッションは、「お金・生活・仕事」のバランスを考え直すいい機会だ。私が住むシリコンバレーは成長も早いが、病気の治療もすばやい。バブルがはじけると同時に、外科手術(リストラ)に入った。その効果はまだ出ていないし、テロの影響でさらに悪化する虞すらある。しかし、打つべき手は打たれている感じだ。そういう中で楽しくたくましく「変身」する人々がいる。その一例を紹介したい。
シリコンバレーのブッシュマン(仮称)は、電気工学の学位とMBAをもつ。10数年前に起業直後のハイテク企業に就職。奥さんともそこで知り合う。夫婦の年収は最高で3000万円、しかもストックオプションももらっていた。しかしある休日、子供と遊ぼうとした際、子供が家政婦さんにくっついて離れず、自分達の方に全く近づかないことにショックを受けた。そこで奥さんが仕事をやめ、専業主婦になる。収入は半減したが、奥さんの表情は日に日によくなった。それをみたブッシュマンは、自分も会社をやめようか、と考え出す。勤め先も創業時と違って大企業病が出始めていて人間関係にも疲れてきた。彼は2ヶ月の休暇をとった。[その間に、どこまで余計な経費を削れるか計算・実験する。夏休みの海外旅行の代わりに両親宅への帰省、子供を私立から公立に転校、外食の削減、車3台を車1台とバイク1台に転換してガソリン代節約、高級な服をギャップのカジュアルに変更、ベビーシッター廃止、等だ。またストックオプションを行使して住宅ローンを返済した。結局、年収が700〜800万円までは下がっても、子供と遊ぶ時間の増大等のおかげで自分の満足度は落ちないと発見した。]
同時に、彼は自分がやりたいことは何か、徹底的に考えた。「一人でこつこつやりたい」「一対一のコミュニケーションが楽しい」「プログラミングの腕はさび付いたが、人がかいたプログラミングをみるのは好きだ」「小さい子供とすごす時間を増やしたい」等と。休暇明けにあっさり会社をやめた。「生活の質を高めること」と「自分の性格にあわせること」に焦点をあてて起業する。ホームオフィスで社員は自分一人。インタネットを使って世界中のプログラマーを組織し、顧客企業のプログラミングを請け負う事業だ。
一時は年収が3000万円を越え、プログラマーの数も1500人を超えた。バブル崩壊後は1000万円を切り、最近は新規案件もなくなってきた。しかし、毎月、会計ソフトが打ち出す財政状況を奥さんとチェックし、節約のシミュレーションを行っていてまだ余裕がある。奥さんはスタンフォードの夜学で環境関連の学位をとろうとしている。私は、ブッシュマンの真剣なスマイルの中に「自分のスタイルで生きる」人の強さ、「家族を巻きこんでいる」優しさ、「お金をウオッチする」堅実さ、をみてなぜかうれしくなった。[また、文化的多様性にあふれるシリコンバレーの場だからこそ、世間の目を気にせず、自分のスタイルに忠実に生きることが可能になっている点も見逃せない。




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