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月刊ロジスティックスIT

努力の原動力:「やりたいことパワー」と「やれることパワー」
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前回、成長するためには「継続した努力」が必要で、継続した努力を楽々と続けるには、「やりたいこと」をみつけてそれをやることが鍵をにぎると述べた。では、やりたいことをどうやってみつけるか?
さて、「私は何をやりたいか」と自分にきいてみて、すっと答がでるだろうか。中華が食べたいといったことならまだしも、それが自分の仕事として長期にわたってやりたいこと、という意味だととまどう人も多いのではないか。そこで、次の質問を読みながら、「私のやりたいことって何だろう」とさっと考えてみたらどうだろう。
過去にやった仕事で、もっとやりたかったけど何かの事情でやめてしまった仕事や、夜寝るのも忘れてやった仕事はないか?もしそういうものがあれば、その中にあなたのほんとうにやりたいことのヒントがあるはずだ。
友人にストレートに「私のセールスポイントは何か」ときいてみよう。どんな答えがでてくるだろうか?他人の目からみてセールスポイントになるところは、実は、あなたがやりたいことに直結している可能性が高い。この厳しい世の中、やりたいことと直結していないと、ほんとうの意味のセールスポイントにはなりにくい。仮に自分でもそう思っていることであっても、他人から言葉に出してもらうと、自分が薄々気付いている強みが確信に裏付けされたパワーに変わる。
あと3ヵ月の寿命といわれたら死ぬ前に何をやりたいか?これは、米国のマネジメント研修では結構使われる。死期の想定を1年後、3年後と変えてさらに発想を広げる。こんな方法は極端だと思われていたが、同時多発テロ事件のせいか急にリアリティを帯びてきた。
あなたは、一日5分でもいいから、やりたいことは何か、と考える時間をもうけているだろうか?ほんとうにやりたいことは、隠れていることも多い。それが出るまで、1日5分でも10分でいいから頭の体操が必要だ。それには、毎日時間帯を決めて、「自分がやりたいこと」を速射砲のように100個項目書き出す。浮かぶものは何でも書く。いい悪いは一切考えない。行き詰まったら「詰まった、出ない」と書いてもいい。途中で絶対止めないで書きつづけることがコツだ。
今やっていることの中にやりたいことをみつけようとしたことがあるか?私に昔コンサルティングの手ほどきをしてくれたワトソンワイアットの川上さんが、「誰かがいってたけど、コンサルタントになりたくてなった人で大成する人は少ないですよね。たまたま何かのきっかけでコンサルタントになって、やってみたら結構面白くて、少しがんばっているうちに、どうしようもなくはまっていった、そういう場合が成功するんですよね」といった。確かに、コンサルタントに限らず、偶然始めたことが面白くなってはまっていった人の方が、やりたくて始めてはまった人より多いかもしれない。

以上のような質問の答を考えるだけで、人によっては何かひらめくかもしれない。例えば、アップルのスティーブ・ジョブズのように(彼は、ゼロックスの研究所でマウスとアイコンをつかったデモをみた瞬間、スパークされた(火がついた)という。彼は、なぜゼロックスの人がこのすごいことをただすわってみているのかが理解できなかった。ジョブズは、その瞬間、将来の可能性を現実のものとしてビジョン化してしまった。そして商品化にむけて走り出した)。
しかし、ほとんどの人は、ひらめきまではいかず、自分のやりたいことが少しみえてきたという感じだろう。そういう場合は、その少しみえてきた「やりたいこと」のイメージを明確化していく。その際有効なのは、人に話してみることだ。自分のアイデア(やりたいこと)をいろんな人にきいてもらう。そうするといろんな質問をうける。それにこたえることが、やりたいことのイメージを具体化することになる。特に、素直に質問してくれるような相手を選ぶことが重要だ。年齢や性別や専門分野を分散させることができればなおよい。私の経験だと、異性の方が圧倒的に役に立つ。そんなこときくなよな、わかっていないな、と思ような質問ほど、あとでじわりときいてきてこちらの思考と連想を豊かにしてくれる。そんな相手をみつけて10人くらいに1時間程度つきあってもらえば、あなたの「やりたいこと」は、かなり具体性をおびてくるはずだ。
ここまできたら、あなたの構想を、一枚の紙にまとめて凝縮する。それを読むとあなたの構想(やりたいこと)が絵としてみえるようになればしめたものだ。この凝縮作業を促すには、「エレベーターピッチ」という方法が使える。米国では、自分のアイデアを有力者に売りこむために、エレベーターに乗っている間にさっと説明する訓練を行なう。有力者の時間がないこともその理由だが、より大切なのは自分がやりたいことのエッセンスを凝縮する練習になることだ。凝縮作業は、長いレポートをつくるより時間がかかる。ここまでくると、あなたはお茶をのんだり、お酒をのんだときも、必ず、自分のやりたいことを相手の人に話したくなる。そこでまたいろいろな刺激をもらって、どんどん一枚紙を修正してパワーアップしていく。
そしてあなたは、自分のやりたいことを実現するために走り出すだろう。スティーブジョブズのように、「なんで、他の人はじっとしているのだろうか」と不思議がりながら。朝、ベッドの中で起きようかなどと迷ったあなたは過去のあなただ。自分の仕事や会社も、今までと違う存在にみえてくる。自分のやりたいことを実現するための資源と機会の集まりにみえてくるはずだ。会社の組織図とかも、まるで、宝島の地図にみえてくるはずだ。ここもあそこも使える。何で今まで使わなかったのかな、と思いながら。会社の同僚や上司や後輩も、結構使えそうだ、大切な人達だ、と見えてくる。あなたを閉じ込めていた箱としての「会社」が、あなたの夢を実現する「宝の山」にみえてくる。
いやいや、そんな簡単じゃない?抵抗勢力は思いのほか強力で、あなたのやりたいことなど容易には実現させてくれない。あなたは単なるドンキホーテになるかもしれない。どうやってしたたかに会社を利用するかは、次回お話しよう。


      


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