●序文
僕は、ヨガをずっとやっていて、自分で、微動という運動をつくっているので、どこでもそれができる。飛行機の中でもできる。すわったままできる。すわったり、じっとしているのは、生理的にいやなので、微動する。貧乏ゆすりじゃない。
僕は、ヨガをずっとやっていて、自分で、微動という運動をつくっているので、どこでもそれができる。飛行機の中でもできる。すわったままできる。すわったり、じっとしているのは、生理的にいやなので、微動する。貧乏ゆすりじゃない。
僕が微動を実演する形で少しみせながら、それがいったい何で、どんな体感なのか、どんな意味なのか、なぜ僕は微動をするようになったか、相手の興味を確認しながら徐々に説明を進める。相手の関心がそこにないときには、すぐにやめて別の話題に移す。むしろ、その相手が、瞑想関連やスピリチャル関連の話をしてもいい相手なのか確かめるリトマス試験紙として、微動を話題として出して試すようになっていた。
実のところ、微動に関心をもつ人は3割程度で、さらに、微動について体感できる人はそのまた3割程度だ。つまり、僕と仲良くなった人の中でも1割未満しか微動は体感できない。単に、微かに身体のある部分を動かすだけなのだが、その微かさがほんとうに微かなので、なかなか感じとってもらえない。さらに、身体の微かな動きにともなって、エアーのような膜が動くのだとか、膜の動きの中に体は吸い込まれるのだとか、体と膜は連続している、といった核心部分の説明までにはなかなか聞き手はついてこられない。そもそも、なんでそんなことをする意味があるのか、ぴんとわかる人などほとんどいない。おそらく1%未満だ(まだこの話をした相手の数は100人未満だから、1%未満とは一人もいないということだ)。相当詳しく説明しないと、その理屈がわかってもらえない。でもこれは理屈を駆使して説明するようでは、そのほんとのところがダイレクトには伝わらない。理屈で濃度が薄まってしまう。理屈ぬきで理屈を直観してもらうことが必要なのだ。
僕が、仮想の女性カスカさんに自分で説明したときのやりとりを再現してみるとこんな感じだ。
キャメル:
「微動ってね、たとえば、上体をこういうふうに少しひねろうとするよね、それも、いつもの少しじゃなくて、ほんの少しだけ、できるだけ少しだけ、数学の微分みたいな感じで、人がみていてもわからないし、自分でも、ひょっとしたらまだ動いていない、いや、ちょっと動いたかもしれない、気のせいかもしれない、…」と説明しはじめると、カスカさんは途中でさえぎる。
「私もね、その微動じゃないけど、錯覚かな、気のせいかな、と思っていることにわざとちゃんと注意を向けるのよ。それはほとんど癖になっている。自分で自分がだまされているのかだましているのか、そういう境界線上の自分の動きと体感に関心をむけるの。」という。
カスカさんのように気のせいでカスカにわかることが微動のポイントだ。英語でいうsubtlenessを悟ることだ。このカスカな気のせいの部分がコントロールできると、カスカなやる気に働きかけることができて、確かなやる気に拡大していくこともできる。
●演習:止める、流す、観る:わびさび「微動」瞑想
ステップ1.止める
・ そのまま体の動きを止めてください。いますぐに。
・ 止まった状態をしばらくキープしてください。
・ 息も止めてください。
・ まだどこかがちょっと動いています。それもきっちり止めてください。
・ でも力は抜いて。でも、状態がくずれないように。
→止めても止まらない「かすかな動き」を感じることがポイントです。
ステップ2.息にあわせて動く
・ はい、ここで息を吸いこんでください。
・ 息を吸い込むと、肺の動きにあわせて胸が動いてちょっと広がり、肩も動くはずです。
・ ついでに、腕なども動くでしょうが、そのまま自然に動くままにしてください。
・ 息をはいてください。肩が少しおりてきて、胸ももとにもどってきます。
・ はい、また息を吸って、息の流れにあわせて体が自然に動くのにまかせて…。
→「止める」と「(止めるのをやめて起きてくる)動きに乗る」ということです。つまり、基本4動作のうちの、かすかな動きを感じると、流れ、がポイントになっています。その練習です。
次に、以上の、「止める、流れる・動く」をしながら、じっくり観察します。
・ 止めたとき、あなたの姿勢はどうなっているか、どうゆがんでいるか、心の状態はどうか、などを観察します。
→基本4動作の「バランス」をみています。
・ 動きの特徴も観察します。なめらかに動いているでしょうか。どこかひっかかりませんか。
→基本4動作の「バランス」と「流れ」をみています。「かすかな動きの感知」も使いながらです。
・ 心理的にもフラットでなめらかでしょうか。波風たちませんか。
→基本4動作は、心理に大きく影響します。心理に大きく影響されます。心理状態は体の状態とならんで、あなたの頭の動きに影響します。だからこそ、第二部で仕事に応用できるのです。
ステップ3:また止める
ステップ4:また(止めるのをやめて)流れにのる
自分のことを観察するのですから、観察と自分は一体化しています。同時に、微妙な動きに意識の焦点をあわせるところが味噌で、そうしているうちに、「実際に体や息が動く」より一瞬先に、何か精妙なエネルギーのようなものが動くような気がしてきます。はじめは、「気のせいかな」くらいな感じです。でも、それは気のせいではなくて、ほんとうにあるエネルギーの流れです。この微妙なところ(いわば、あなたの「微分」)を体感できると、微妙なレベルで、自分の特徴がつかめてきます。
あなたの強味を目覚めさせるウオーミングアップです。このウオーミングアップ自体の質がどんどん向上して、それ自体があなたの強味の基本形になっていきます(なぜ、そうなるかは別の機会にかきます)。
はじめにお断りしておきますが、あなたが、今さっきやった動きは、あなただけの動きです。このブログをよんで同じことをやった人も、すべてその人独自の動きです。僕は、一切、ここで何センチ動かしてとか、息を何秒すってとか、胸をどれくらい広げてとかいってません。
何をやったのかというと、あなたの「型」と「動き」を、発見したのです。ささいなエクササイズですが、ほとんどの方にとって、初体験のはずです。
少し抽象化しておくと、息を吸い込むことで、あなたは「吸い込まれる空気(状況)」を活用して、あなたの体の動きをアクティベイトしたのです。ちょうど、コンピューターをたちあげるように。
ここで紹介した方法は、僕が20年くらい、毎日、適当な時間に適当な長さやっていることです。その間、おりにふれて、いろいろな実験や手法を取り入れてきたので、20年前に始めたころの原型はすでにありません。よけいなものをそぎ落としたのが、ここで紹介したものです。この方法を、人に話したことも、書いたこともないので、もしこれを読んで、やってみて、どうもこんな感じかな、と体感できた人がいたらコメントをください。
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